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会員店の喫茶室

古本屋冥利 昨年で一番縁を感じた注文品

まずは、2024年古書会館de古本まつり3日間多数の愛書家の皆様のご来場誠にありがとうございました。お陰様でご来場数もコロナ前の水準に戻り好況に終わり大変嬉しく思っております。
入り口でお迎えしておりますと熟年層はもとより、ご婦人や若い方々も多数お見受けし、読書離れの時代と言われてはおりますが、少し安堵いたしました。
次回は5月1日~5日まで岡崎ミヤコメッセ(京都市勧業館)で春の古書大即売会を開催いたします。大会場ですので各店5倍以上の商品が陳列されます。
きっとお目にかなう本と出合えると思います。どうか皆様のご来場をお待ちいたしております。

さて、では喫茶室の話題です。古本屋冥利 昨年で一番縁を感じた注文品

インターネットサイトに出品していたパンフレット東京 観光と交通の御案内(東京山の手支部)/帝都中心地区旅館御案内(東京千代田支部)/椿山荘/椿山荘(英文)/東京原宿神宮橋旅館/東京神田旅館萬代家/赤坂清香園比良野東京上野水光閣 計8点 というものがありました。10月中頃、東京のさるお方から一本の電話が鳴りました。応対してみると、上記出品のパンフレットから、「どうしても1点だけ分けてもらえないでしょうか」というお話でありました。当然お断りしようと思いましたが、詳しくお話をお伺いすると、其のパンフレットは今は無き祖母が経営なさっていた旅館のパンフレットで当地に現存はしないし、其の地には今は住んではいないけれど、幼少からの貴重な思い出の資料なので、どうしても手元に持っておきたい。そしてわが子達にも見せ、終生大事な宝として大事に保存して伝えたいということでした。其の旅館は上野の不忍池近くで営まれていたそうです。商品到着のお知らせをいただき「手前勝手な我がままを叶えて下さり、心から感謝しております。早速亡き父の遺影に報告させて貰いました!京都に伺う際には寄らせて頂きますね。」とコメントをいただきました。お手元に商品が届き、お父様にご報告とのこと、ご注文者様のご両親に対する畏敬の念が伝わって参りました。
何という縁といいましょうか、不思議な糸でお客様とつながっているような、多分に勝手な独りよがりの自己満足でしょが、大変嬉しい気持ちになりました。インターネットでどんどんモノが何方が買われたのかもよく判らない取引がなされるなか、正にどういう理由でそれを所望するかが判ることが、こんなにも胸がすく思いを感じた取引でした。

萩書房 井上賢次 記

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