単なるモノの流通を超え、過去から未来へ、人と人との想いをつなぐ
まずは、2026年春の古書大即売会5日間多数の愛書家の皆様のご来場誠にありがとうございました。お陰様で事前の気象情報よりも天気も良く大変嬉しく思っております。お客様と直接お話しできたり、貴重な情報をご教示ただいたり、対面販売できる喜びは古本屋冥利と思っております。次回は8月11日~16日まで世界遺産下鴨神社にて納涼古本まつりを開催いたします。どうか皆様のご来場をお待ちいたしております。
さて、では喫茶室の話題です。古本屋冥利 昨年で一番縁を感じた注文品part2
インターネットサイトに出品していた
ABCカルタ 大阪基督教女子青年会発行 函/昭和20か30年代初め位の発行か?
というものがありました。千葉県のさるご婦人から一本の電話が鳴りました。応対してみると、「上記出品、まだありますか。其のABCカルタは今は無きおじいちゃんが、製作に関わったものでまさか現存しているとは驚きです。幼少からの貴重な思い出の詰まったものなので、是が非とも手元に持っておきたい。終生大事な宝として大事に保存しておきたい。」とのことでした。何という縁といいましょうか、不思議な糸でお客様とつながっているような、多分に勝手な独りよがりの自己満足でしょうが、大変嬉しい気持ちになりました。インターネットでどんどんモノが何方が買われたのか、どんな思いで買われたのか等もよく判らない取引がなされる昨今、正にどういう理由でそれを所望するかが判ることが、こんなにも胸がすく思いを感じた取引でした。そこで、なんでも深く探りたくなる古本屋根性が湧いてきて、大阪基督教女子青年会についてすこし調べてみました。(これが古本屋の醍醐味だとのひとりよがりですが思っております。)
大阪基督教女子青年会(現在の大阪YWCA)は1918年の創立初期から英語クラスなどの教育活動に力を入れており、その一環として制作・配布されたものと考えられる。当時は、広岡浅子(NHK連続テレビ小説『あさが来た』のモデル)らの協力を得て設立され、働く女性の自立や教育を目的とした先駆的な活動を行っていた。このカルタも、そうした時代における女性や子供たちの教養向上のためのツールであったらしい。構成はアルファベットのAからZまでを頭文字とした英単語と、それに対応する日本語の読み札・絵札で構成され、デザイン: 昭和20年代〜30年代特有の、温かみのあるレトロな手描きイラストが特徴。例えば「A」なら「Apple」、「B」なら「Boy」や「Ball」といった、子供にも親しみやすい日常的な単語が選ばれている。単なる遊び道具ではなく、キリスト教精神に基づく「国際交流」や「女子教育」を掲げる大阪YWCAらしく、正しい英語の発音や意味を楽しく学べるよう工夫されていた。
「古本屋として単なるモノの流通を超え、過去から未来へ、人と人との想いをつなぐ場所であれたかなあ。」いや、そんな烏滸がましい大層なことではない話ですが、小生ちょっぴりいい気分になりました。
萩書房 井上賢次 記





